2007年11月13日

なぜキャノンはリサイクルアシストを訴えたのですか?【Q&A形式でご説明B】

最高裁決定によりエコリカがエプソンに勝訴が確定した前日、同じく最高裁でキャノンがリサイクルアシストに勝訴し、新聞などではこちらのほうが大きく報道されました。
世間が注目するキャノン勝訴の最高裁判決について、もう少しご説明したいと思います。
 ※法律論になる部分がありますので、コメントの難易度を
   A・・簡単
   B・・やや難解
   C・・かなり難解
  で表示しております。

<難易度C>
■なぜキャノンはリサイクルアシストを訴えたのですか?

  リサイクルインクのシェアから見ると、あまり店頭でも見かけることのない
  リサイクルアシストがなぜ訴えられ、最高裁判決にまで至ったのか釈然と
  しない方も多いことと思います。
  なぜキャノンはリサイクルアシストを訴えたのでしょうか?

  中国製のニセブランド品や、違法コピー品が世界中に蔓延して問題になって
  います。
  日本政府はこれら知的財産侵害物品の国内への侵入を水際で食い止めるため、
  税関による知的財産侵害物品の取り締まりを行っています。
  キャノンはこの制度を利用して、キャノンが保有している特許権を侵害して
  いるインクカートリッジの輸入差止を税関に申立て(※1)受理されました。
  リサイクルアシストは、マカオに本社があるユニオンテクノロジー社が中国
  で製造した「リサイクルインクカートリッジ」を輸入しようとしたのですが、
  これがこの制度により輸入差し止めとなってしまったのです。

  そもそもこの知的財産侵害物品の取締りは、ニセブランド品や違法コピー品
  の取締りを目的としたものです。しかしこの制度には一点問題点がありました。
  それは、輸入差止申立が受理されてしまうと、その後は受理申立人の一方的
  判断だけで「侵害疑義物品」とされた物品の輸入が差止められてしまうという
  部分です。
  リサイクルアシストはキャノンがこの申立をする以前から「リサイクルインク
  カートリッジ」を輸入していましたが、この制度の適用により突然「侵害疑義
  物品」とされ、輸入差し止めの対象となってしまったのです。
  
  当然、リサイクルアシストは困ってしまいました。顧客とは納期の約束も
  あったと思います。やむなくリサイクルアシストは通関解放制度(※2)を
  利用して税関を通過させ貨物を受け取りました。
  そうなるとキャノン側は一度「知的財産侵害疑義物品」と主張した以上、
  その商品が国内で流通するのを見逃すわけにはいかなくなります。
  こうして、キャノンはリサイクルアシストを東京地裁に提訴することになっ
  たわけです。
    
 (※1)輸入差止申立制度
    http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_001.htm
   知的財産のうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権
   及び育成者権を有する者が、自己の権利を侵害すると認める貨物が輸入され
   ようとする場合に、税関長に対し、当該貨物の輸入を差止め、認定手続を執る
   べきことを申し立てる制度です。《関税法第69条の13、同施行令第62条の17》

 (※2)通関解放制度とは
    http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/c_004.htm
   輸入差止申立てが受理された特許権、実用新案権又は意匠権に係る貨物に
   ついて認定手続が執られたとき、輸入者は一定期間経過後、税関長に対し
   認定手続の取りやめを求めることができる制度です。その場合税関長は、
   当該認定手続に係る貨物が輸入されることにより権利者が被るおそれがある
   損害の賠償を担保するため、相当額の金銭(通関解放金)を供託する旨を
   命じ、通関解放金が供託されると、認定手続きを取りやめる、輸入を許可
   します。《関税法第69条の20、同施行令第62条の31、62条の32》

 

エコリカ リサイクルインク

2007年11月13日

セイコーエプソン対エコリカ特許権侵害差止等請求事件、エコリカの勝訴確定のお知らせ(その2)

エコリカ公式コメント

 この事件は、平成16年11月23日に、まだ創業して1年ほどしか経過していない当社に対して一通の内容証明郵便がエプソンの代理人から届いたことから始まりました。それは「エコリカの製造・販売するリサイクルインクがエプソンの保有するインクタンクの特許を侵害しており、販売の差し止めを求める内容」となっておりました。

 エコリカでは、インクタンクをリサイクルする過程において、特許に対する十分な検討と配慮を行い、その上でリサイクルインクの販売を行っておりましたので、「正式な回答書を作成するので、あと10日の猶予を戴きたい」との申入れ書を送付しましたが、エプソンは、エコリカの回答書が届くのを待たずして、いきなり訴訟を提起し、東京地裁での訴訟が始まりました。

 それから3年ほどの間に、特許侵害差止等請求事件につきましては、
東京地方裁判所(エコリカ勝訴)→知財高裁高等裁判所(エコリカ勝訴)→最高裁判所(今回の上告不受理決定)
特許侵害と言われた特許につきましては、エコリカより無効の申し立てを特許庁に対して行い
特許庁(無効)→知財高裁(特許庁に差し戻し)→特許庁(無効)→知財高裁に提訴中(EPSON社)
となっております。

 既にリサイクルインクは、ユーザーの皆様の環境意識の高まりと共に、平成19年2月からはグリーン購入法特定調達品目に認めていただくなど官民上げての調達も進んでおり、益々プリンターユーザーの身近な商品として定着してきております。
 また、地球温暖化が深刻となり各種リサイクルに対する法整備が進む中において、「リサイクルは社会にとって重要」といった認識については、訴訟の始まった3年前と現在では比べられないほど高まっております。

 しかし、エコリカとして、「リサイクルインクは環境にいいからとの理由だけで全ての特許を無視しても良い」と申し上げているわけではなく、また特許権にフリーライドを行っても良いとも考えておりません。
 弊社では、技術的に優れた工夫であり、本来特許として保護すべき発明について独占権が与えられることは必要と考えておりますが、リサイクルの場面においてその権利行使がどの程度許されるかは、特許権者の利益を優先して保護すべき場合と、広く開放することで社会的要請に応えてユーザー(社会)の利益を優先するべき場合があると考えます。そして、特許権の取得や行使は、プリンターメーカーの消耗品戦略やリサイクル封じ込めのためになされることがあってはならないと考えています。

 つまり今般この訴訟の元となる特許第3257597号の例のような、「新規性・進歩性もなく同業者であれば容易に思いつく特許」「作用効果も無く実態と一致しない特許」に対しては、そもそも特許と認められるべきではなく、権利行使も当然制限されるべきと判断しておりました。また、出願時点で特許の対象としていた内容を拡大解釈し、形式的に広い特許を取得した上で、リサイクル封じ込めのための権利行使に利用することは、社会的責任あるプリンターメーカーが行うべきものではないとも判断しておりました。弊社は、その判断をより強いものとすべく特許庁に対しては無効かどうかの判断をお願いし、既に「特許は無効とされるべきもの」とした結果を得ております。(ただEPSONは知財高裁に提訴中ですので確定ではございません)

 リサイクル品に対する権利行使の判断基準としましては、今般キヤノン社対リサイクルアシスト社の最高裁判決(平成19年11月8日)において、「加工や部品の交換の度合いにより、その特許製品を新たに製造したと認められるときは違反となるが、対象の特許製品の属性、特許発明の内容、加工の仕方、取引の実情などを総合考慮して決定すべき」と判断され、前回の知財高裁の第一類型、第二類型といった判断基準が否定され、取引の実情なども考慮した上で、その加工などが修理の範疇に入る軽微なものなのか?(再使用)、製造とみなさなければ為らない行為なのか(再生産)といった判断基準に統一されたことは、評価出来ると考えています。

 訴訟が開始された当初では、1%にも満たなかったリサイクルインク業者のシェアも直近の数字では10%近くになるなど、既にリサイクルインクの業者間での競争も始まっております。
 「安かろう・悪かろうで利益追求にのみ奔走する業者」
 「知的財産権に配慮せず、リサイクルの名を借りて海外製の海賊版を平気で販売する業者」
 「名ばかりで真摯に環境に取り組まない業者」
 「エコリカの名を語り、弊社の回収ボックスよりカートリッジを搾取する業者」
が現れる事態に至っては、同業者として非常に恥ずかしく思っております。

 キヤノン、エプソンに次ぐ3位の販売数量を誇るまでとなりましたエコリカとしては、各種法令を遵守することは勿論ですが
 「環境にやさしく、且つ製品自体も人にとっても地球にとっても安全であること」
 「少しでも安価で良質な製品をご提供することによって、エコを身近に感じていただくこと」
を肝に銘じながら日々邁進して行こうと考えますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

 なお「空カートリッジは有効な資源」であり、「繰り返し使用可能な商品」ですので、使用済みカートリッジにつきましては決して廃棄することなく、全国6000店舗以上に設置されました「エコリカ回収ボックス」
への回収にご協力いただくようこの場をお借りして改めてお願い致します。
 回収されましたカートリッジにつきましては、再使用可能かどうか?の判別後、残念ながら使用できなかったものについては、マテリアルリサイクルへの取り組みも一昨年より始まっており、また皆様に環境貢献をより感じていただくとの目的でのWWF(世界自然保護基金)に対しての寄付につきましては、エコリカ・リサイクルインクの売り上げ1個に付き1円を創業以来4年以上に亘りまして行ってきております。

 「人と地球に貢献」する商品を通して、皆様に信頼され、支持されるブランドとなりますように引き続き邁進する事を誓いまして、詳細のご報告とさせていただきます。
 リサイクルアシスト社の判決の後であり、その訴訟に対する十分な検討後に発表したいとの意向があり、 皆様への発表が遅れました事をお詫びいたします。

(エコリカ公式コメント〜その2)

 

エコリカ リサイクルインク

2007年11月13日

セイコーエプソン対エコリカ特許権侵害差止等請求事件、エコリカの勝訴確定のお知らせ(その1)

エコリカ公式コメント

 最高裁判所第二小法廷(中川了滋裁判長)は、平成19年11月9日、上告受理申立人セイコーエプソン株式会社(以下、エプソンといいます)と相手方株式会社エコリカ(以下、エコリカといいます)との間の平成19年(受)第1404号上告受理申立事件について、
「知的財産高等裁判所が平成19年5月30日に言い渡した平成18年(ネ)第10077号特許権侵害差止請求事件判決に対し、エプソンから上告受理の申し立てがあったが、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められない、よって裁判官全員一致の意見として、本件を上告審として受理しない」
との決定を行い、これによってエプソン敗訴の知財高裁判決が確定し、エコリカ勝訴が確定しました。

 平成16年12月7日に東京地裁に提訴されて以来、先週末の最高裁での決定を戴くまでの3年の長きにわたり、司法の場で大企業を相手に戦い続けてまいりましたが、最高裁においてもエプソンの請求を退ける判断を戴きましたことで、エコリカのリサイクルインクの製造・販売が今後も認められる事となりました。

 今回の最高裁の決定をもちまして、当社は特許権侵害差止の訴訟における被告の立場を解放されるわけでございますが、訴訟中でありながら当社の活動に賛同し、空カートリッジ回収のご協力とエコリカ製品の取り扱いを迷うことなく継続していただきました日本全国の販売店の皆様、代理店の皆様、それに使い続けていただいたエンドユーザーの皆様にお礼を申し上げたいと思います。

 また、一審となりました東京地裁から最高裁まで一貫した弁護活動と、それを補強する意味で特許庁に対しても特許無効の審判請求を行っていただき、全てに勝利されました弊社代理人の溝上法律特許事務所の溝上先生、岩原先生、山本先生、弊社製品が特許違反に当たるかどうかを知財戦略の第一人者として鑑定を戴き、東京地裁にご提出をいただきました北海道大学の田村善之教授、国際派のロウ・オフィスとして高名であり、リサイクルアシスト社の弁護も担当されました日比谷パーク法律事務所の上山先生、川井先生、西本先生に感謝の言葉を捧げたいと思います。

 最後に、高品質なリサイクル製品を作る為20年以上もの大手精密機械メーカーの生産工場としての蓄積された技術を惜しみなくエコリカ製品に注ぎ込んでくれた、エステー産業の皆様にも敬意を表したいと思います。

(エコリカ公式コメント〜その1)

 

エコリカ リサイクルインク